世界の鷹匠と人生哲学

ごあいさつ

こんにちは。KTです。2016年から関東でハヤブサを使った鷹狩りをしています。

鷹狩りって何?という方はこちらをご覧ください。https://goo.gl/9kHaCV
鷹狩りを始めたきっかけは第一回目で解説しています。http://kokoroikirukurashi.com/2017/10/20/taka1/

世界の鷹匠と人生哲学

いつもご愛読ありがとうございます。今回はわたしが出会った世界の鷹匠とのやりとりで印象的だったものをご紹介します。

The bird doesn’t care.

アフリカ系アメリカ人の鷹匠がインタビューされたとき、こう答えていました。彼の世話する猛禽は、肌の色や金持ちかそうでないかなどを一切気にしない。

人間である以上、変えられないことを理由に、差別に遭うこともあります。それでも彼が自信を保ち続けているのは、猛禽にならっているからでしょうか。

野生の動物は自らを憐れむことなく、どんなときも生き延びることを第一に行動します。愛情や外見や地位を気にかけない猛禽と絆を結ぶには、生きるために狩りをして食べるという欲求を理解し、メリットだけを提示しなければなりません。

試行錯誤を経て確立したスキルは彼にゆるぎない自信を与えたはずです。

外野の声に乱されず、全力で生きる。変えられないことを嘆くのではなく、変えられることに力を注いでいきたいと思いました。

It’s like looking at yourself in the mirror.

猛禽と接していると、鏡に映った自分を見ているようだ。国際鷹匠祭りで出会った東南アジアの青年がこう話してくれました。

猛禽類の多くは瞳孔の目立つ黄色の目をしており、強い目力から近寄りがたいイメージがあるようです。

また、ほかの鳥を捕らえて食べることから、獰猛だという先入観があります。しかし、実は繊細で神経質な生き物です。かんしゃく持ちだと語る彼は(まったくそのようには見えませんが)、猛禽の目を見つめると気持ちが安らぐと言っていました。

きっと彼は、必要になれば死力をつくして獲物を捕らえるが、そうでないときはじっと静かに次のチャンスを待つ猛禽のようなタイプなのでしょう。似た者同士、引き合ったに違いありません。

かく言うわたしも、猛禽の目を見ると気持ちが落ち着きます。

自分の鷹とふたりきりになれる山がほしかった

還暦を過ぎたその鷹匠は、雪山でかんじきをはいて狩りをしています。

狩りだけで生計を立てていた最後の鷹匠に彼が弟子入りしたのは40年以上前のことでした。当時は今ほど鷹狩りが盛んではありませんでした。

彼が弟子入りした当初、さまざまなメディアが取材にやってきましたが、誰一人として鷹狩りを続けられるとは思っていなかったそうです。

ところが4年後、彼と鷹はとうとう一羽のウサギを仕留めます。雪のない平地でも、鷹狩りを成功させることはやさしくはありません。

見通しの良くない急斜面で、たった一人でひたすら努力を重ねるにはかなりの体力と気力が要ります。

冬の間鷹狩りに専念するために、春から秋はさまざまな仕事を掛け持ちしたそうです。大変な苦労に違いありません。

しかし彼は幸せな半生だったと振り返ります。なぜなら、自分の鷹と山でふたりきりになりたいという夢が叶ったからだそうです。

純粋な願いが叶ったとき、聞き手もまた、喜びを共有するのだと知りました。

小さな巨人

「若者」がテーマの国際鷹匠祭りに杖をつきながら現れたその老人は、欠くことのできない 歴史を体現していました。

偶然にも、わたしと同じ種類のハヤブサで昨年まで狩りをしていたのです! ハヤブサのなかでも珍しい種類で狩りをしている同士、打ちとけるのに時間はかかりませんでした。

彼のハヤブサは体重の3倍以上もあるカモをしとめたことが何度かあったそうです。 そのときのことをまるで昨日のことのように話すようすは、少年のようでした。

今から30年ほど前、彼はアメリカの鷹狩りの歴史と文化を保存する組織を立ち上げました。 文化は継承されなければ、風化してしまいます。 それを後世に残せるかたちにすることはたやすいことではありません。

手間のかかる仕事を損得抜きに始めた彼の思いをしっかりと継いだわたしは、 近い将来の再 会を約束して別れました。

おわりに

ここに登場する以外にも、たくさんの素晴らしい出会いがありました。 鷹狩りマニュアルの翻訳版を出版することによって、コミュニティに貢献したいと思っています。 1月末から翻訳本の予約注文を開始します。 詳細は以下URLからご覧ください。 http://thousandsofbooks.jp/project/falcon/

なお、本プロジェクトは費用をクラウドファンディングで集めます。 予約注文、ご寄付で目標金額に到達した場合、出版が可能となります。 皆さまのご支援のほどよろしくお願いいたします。

KT
198X年関東生まれ。
2016年よりハヤブサで鷹狩りをはじめる。外資系企業等の勤務を経て、フリーランス通訳・翻訳者。趣味は乗馬とシュールなフクロウグッズ作り。
Webサイト http://hayabusa.takagari.net/
フクロウグッズ販売中 https://minne.com/@menfukurou

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