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2015-08-28

インタビュー・平尾暁子さん(part2:妊娠・出産体験と生き方の変化編)

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【名前】平尾暁子
【年齢】38歳
【職業】アロマセラピスト
【出身地】神奈川県
【現住所】神奈川県

横浜・川崎で暮らしていたが、震災を機に住環境について考えるようになり、
2012年に鎌倉に引っ越しをした平尾暁子さん。
鎌倉にて37歳の時に、子供を授かり、出産。育児の中でまた考えるところがあり、
2015年、子供が10ヶ月の時に横浜へと引っ越す。実家近くに腰を落ち着ける。
鎌倉くらし、妊娠出産を経て感じた、心境の変化などを伺いました。

ー取材:佐藤美央、大村真帆 文章:平尾暁子、佐藤美央


 

 

part2:妊娠・出産体験と生き方の変化編

 

 

1.結婚当初
~子供を産んだらいけないと思っていた~

 

―結婚して10年以上経った 37歳 の時に、娘が生まれたとお伺いして驚きました。結婚して、10年以上経ってから娘さんが生まれたのはなぜでしょうか?

いくつかの理由があります。一つは、単純に体調が悪い時期が長くて、しょっちゅう薬を飲んでいたり、妊娠できる状況ではなかったこと。一つは、育児の前に、やりたいことを思い切りやってみたかったこと。でも、根本的に子どもを産む気がなかったです。どこかで自分は子どもを産んだらいけないと思っていました。

 

―なぜ、子どもを産んだらいけないと思っていたのですか?

自分が少し一般的な生き方とずれているような気がしていたので、そんな私が子供を持ってはいけないという気持ちがありました。自己評価がとても低かったんですね。同時に子供を持つなら、うんと幸せにしてあげたいと思っていたので、自分の中でのハードルがとても高かったんです。

また、自分が子供の頃の母親が育児をしていてあまり幸せそうではなかったので子供を持つことは大変で、あまりいいことではない、というイメージがありました。

自由でありながら育児をするというのは不可能だと思っていたんです。だから、相当自分が満たされた状態でなければ、子どもにとって悪影響だと思っていたから、その時はいいと思っていました。

 

―それでも子供を欲しくなったのはどうしてですか?

子どもが欲しいという女性的な義務感のようなものではなくて、自然と子どもを持ってもいいのだろうなーと思うようになれたからです。時期的には、普通の仕事はいいやとあきらめてアロマの勉強をしだした位から、自分が満たされてきて。ごきげんな自分になってきたからだと思います。

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2.アロマセラピストとしての自己の確立

~自分が満たされて、ごきげんな自分になる~

 

―普通の仕事というのは具体的にどのようなことでしょうか?

私のイメージの普通の仕事は、やとわれて働くことです。職種は何でも。世代的なものもあると思うのですが、自分で自分の仕事を創るという発想はなかなかありませんでした。

 

―そこからアロマに興味をもち、仕事にしていく、流れを教えていただけますか。

20代から体調を崩しがちになって、ユリ・ジュリアンさん(パトリスジュリアンさんの奥さま。アロマセラピストでエステティシャン)のアロマテラピー・カウンセリングにとてもお世話になったんです。そこから香りに興味をもって。彼女が自宅でサロン(※当時)をしているスタイルにも影響を受けて、自分でもやってみたいと思うようになりました。そこからアロマテラピーの資格を取り、最初は身近な人にワークショップに参加してもらって、少しずつ経験を積んでいきました。

 

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―自分が満たされて、ごきげんな自分になったから子供を持ちたいと思ったと伺いましたが、「自分を満たして、ごきげんな自分になる」というのは、どういうことでしょうか?

「自分に合った生き方をしていて、納得している」という自尊心がある状態だと思います。具体的な形は人それぞれで、主婦でも会社員でも何でもいいと思うのですけれど、向いていることをしていて、自分のエネルギーを気持ちよく使えているという実感が大切だと思います。

 

―また、どういったことを心がけて、「自分を満たして、ごきげんな自分」になっていったのでしょうか。

私の場合、まずは体のケアからのスタートでした。20代から体調不良で、いくら病院に行っても、薬を飲んでも、「病気ではないけれど元気でもない」という状態で。それで、アロマテラピーや冷え取り健康法などの自然療法を試すようになったら、単純に心地よいし、不調は改善されるしで、まずは「身体がごきげん」になっていったんですね。

そうしたら、素直に自分のやりたいこと、本当に向いていることにトライしてみようという気持ちになりました。向いていることをすれば、得意なことだから評価もされやすいし、感謝もされやすい、自分も楽しい…という好循環が始まりました。

 

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3.子供をもつ決意

~子どもをもつという怖さから逃げていたと気づく~

 

ー仕事が順調になり、好循環がはじまったら、子供を持つ決意ができたという
ことでしょうか?

それでも子供を持つ決意はなかなかできませんでした。持とうと思えば、持てるけど怖かった。育児に対する悪いイメージを払しょくするほどの自信がありませんでした。今思えば、逃げていたんだと思います。

でも不思議なもので、身体は妊娠したがっているように感じました。子どもをもつという怖さから逃げていても、私にとっては、生きている意味がないと思えてきて。特に、夫婦として生きている意味がないのではないか?と思うようになりました。

これ以上、マイペースにやっていても自分自身の枠から出られなくて、先細りのような気がしてきたんです。

また、だんなさんから、「あっこちゃんは子供が居た方が良いと思う。」「人のために頑張れるタイプだし。」と言われていたことも関係していると思います。

 

―妊娠するために何か心がけたことなどありますか?

20代はとても体調が悪かったので、30代からさまざまな自然療法で身体を立て直しました。冷え取りやアロマもよかったですが、具体的に効果があったと思うのは、足もみかな。(*「足もみ力」近藤愛沙さん)名古屋にあるサロンで妊娠成功率100%なんだとか。

たぶん妊娠しやすい体質なのではないかと感じていたので、避妊はずっとしていて、こどもを作ろうと決めてから避妊を辞めました。

実際の妊娠は、体が勝手にタイミングを選んでいると感じました。だから、意識の上では不思議とぼ~っとしていて「なんとなく」としか言えない感覚があります。

 

ー妊娠した時はすぐに分かりましたか?

妊娠した時はすぐに分かりました。何度か、妊娠したかな?と思って空振りだったこともあったけど本当に妊娠した時は、妙に冷静だったように思います。

ちなみに、鎌倉は子供を授かるという意味ではいい環境でした。海に頭から何度も入ったりしてデトックスされていたように思います。

 

ー妊娠中に気をつけていたことは何かありましたか?

妊娠中は他人を身体に住まわせているという特殊な状態で、無防備にいろいろと人から影響を受けやすい気がしていたので、あまり人に会いたくなかったんです。

鎌倉は、実家の両親とかがすぐには来れない場所なのがかえって良かったのかもしれないですね。今思えば、妊娠出産のために鎌倉に住んだとしか思えないところがあります。すべて無意識だったのですけれど。

 

 

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3.帝王切開での出産

~ナチュラルじゃなきゃ洗脳がとけた~
―出産を経験されて、どう感じましたか?

自然分娩で出産したいと思っていたけれど、結局帝王切開で出産して。娘が、仮死状態で生まれてきたこともあってすぐに点滴をうって、NICUに入るようなハードな出産でした。私自身も、出血多量でした。

出産は経験したことのないようなハードでぐろい部分もあります。けれども、だからこそ体験したら怖いものがなくなりますね。命の現場を体験できると、自分の小ささがわかって感謝の気持ちが湧くようになりました。

あとは、自然分娩で出産したいと思っていたけれど帝王切開で出産することになったことでナチュラルじゃなきゃ洗脳がとけた気がします。

 

―ナチュラルじゃなきゃ洗脳とはどういった意味でしょうか?

環境、食事、生活習慣、衣服などなど、すべてが自然なものがよくて、それ以外はダメという考えですね。出産は自然分娩。おむつは布おむつ。食事は天然の出汁と野菜だけとか。それ以外はすべて体に悪い、間違っていると考えてしまっていました。「それ以外は間違っている」と思う時点で洗脳というか、バランスを崩していますよね。

 

―ナチュラルじゃなきゃ洗脳は、どういったところから醸成されていったのでしょうか?

始まりは、自然療法的なアプローチで身体が楽になったりしたことで、それはとてもいい体験だったのですが、だんだんと考えが偏るようになってしまって。

まだまだ周りにそういう考えの人がいなかったので、逆の考えを批判することで自分の考えが正しいと安心したかったんですね。今思えば、視点が自然側に移っただけで、考え方自体は「こっちがいいならあっちはダメ」という二元論のままだったんですね。ナチュラルというのはそういうことではないのにね。だから、「ナチュラルじゃなきゃダメ」というのは自分の考えや感覚に自信がないのから、強がるための理論武装だったように思います。

前は、無自覚に自然のないところに生きているひとに対して見下すような傲慢な気持ちがあったけど・・・批判するのではなくて、自分のことに集中したほうがよいと思います。本当は自分が納得いくようにできていない分、人のことが気になるんですよね。

今は自分が好きでやっているだけだから、人に対して批判的に感じることはないです。

 

―暁子さんは、出産を経てご実家の近くにお引越しをされましたが、子育てが大変だけど、周りに頼る家族がいない方もいらっしゃるかと思うのですが、そういった方へのアドバイスはありますか?

ちょっと長くなってしまうのですが…。本当にいない、ということはないと思うんです。頼れるところにはどんどん頼った方がいい。

私も鎌倉市在住中には産後ケアのプロフェショナルである「産後ドゥーラ」や市民の方たちのNPO「ファミリーサポート」に頼っていました。そして、実家が遠かったり、引っ越せない事情があったとしたら、もっともっとそういう公的なサポートに頼ったと思います。自分で育児サークルとかも立ち上げていたかもしれません。

なぜかというと、時代が進んで、今の子育てって、もはや「女性はみんな子供を産み育てるのが当然」ではないですよね。母親である女性自身、それまで自由に働いたり遊んできた人がほとんどだから、育児中の疎外感・閉塞感がとてもきついんですよね。ギャップがあって。

私も育児自体はすごく楽しいです。でも、ほかの友人はほとんど独身であちこち遊んでいたり、仕事をしていたり。それまで対等な関係だった夫だけが外に出ていて、自分は一日家にいたり。慣れない環境になかなか適応できないんですよね。それで育児中にバランスを崩してしまった友人が何人かいます。そのあたりが私たちの母親世代の子育てとはちょっと違う点だと感じています。

今の女性は社会的なアイデンティティもすごく持っている。だから「育児の喜びや苦労を人と共有できる」ことがとっても必要だと思います。

普段は柔軟な考えができても、お母さんをしていると、人に頼るのが恥ずかしいとか、みんな一人で頑張っているんだから、という昔ながらの我慢を美徳とする発想をしてしまいがちです。

でも、自分自身の子供の頃を思い出しても、母親がキリキリして我慢していたらすごく悲しかったですよね。だから、自分が楽するほど子供にもいい影響がある!と割り切って、心を開いて人に頼るとどんどん新しい世界が広がっていくと思います。それがこれからの時代の子育てになっていくんじゃないかなぁと感じています。

 


まとめ

・子どもを産んだらいけないと思っていたが、ごきげんな自分になったら子どもを持ちたいと思えるようになった。
・自分を満たして、ごきげんな自分になるとは「自分に合った生き方をしていて、納得している」という自尊心がある状態
・子どもをもつという怖さから逃げていても、私にとっては生きている意味がないように感じた。
・帝王切開で出産することで、ナチュラルじゃなきゃ洗脳がとけて、物事の多面性を受け容れられるようになった。
・自分が楽するほど子供にもいい影響がある!と割り切って、心を開いて人に頼るとどんどん新しい世界が広がっていく

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