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2015-07-20

インタビュー・平尾暁子さん(part1:移住とライフスタイル編)前篇

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【名前】平尾暁子
【年齢】38歳
【職業】アロマセラピスト
【出身地】神奈川県
【現住所】神奈川県

横浜・川崎で暮らしていたが、震災を機に住環境について考えるようになり、
2012年に鎌倉に引っ越しをした平尾暁子さん。
鎌倉にて37歳の時に、子供を授かり、出産。育児の中でまた考えるところがあり、
2015年、子供が10ヶ月の時に横浜へと引っ越す。実家近くに腰を落ち着ける。
鎌倉くらし、妊娠出産を経て感じた、心境の変化などを伺いました。

ー取材:佐藤美央、大村真帆 文章:平尾暁子、佐藤美央


part1:移住とライフスタイル編

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1.川崎から鎌倉への引っ越し。

~震災をきっかけとして、自分が漫然と生きていることに危機感を感じる~

 

―鎌倉へ引っ越しをされた、きっかけをおしえてください。

以前から緑豊かな土地に住んでみたいという思いは漠然とありましたが、直接的なきっかけは震災です。意識のスイッチが切り替わりました。放射能の問題から環境への危機感がとても高まり、改めて住環境について考えるようになりました。

そして、環境以上に、自分があまりに漫然と生きていることに危機感を感じたんですね。自分らしい生き方、納得できる住環境での暮らしを今トライしてみなければどうする、という切羽詰まった気持ちになるようになりました。そうして自覚的に生き始めないと、きっとこれから厳しくなって行くであろう環境の中で、気持ちよく生きていけない気がしたんです。

とりわけ大きな要因だったのは子供ですね。そろそろ子供を持ちたいと考えていたので、この時に住んでいた川崎の工業地帯ではどうしても子育てのイメージが湧かず、いずれ引っ越すならどこへ行こうと悩んでいた最中でした。そんな折りに友人の住む逗子・鎌倉に行く度に心身がほっとするのを感じ、とりあえず住んでみようと夫に持ちかけました。

 

―とりあえず、住んでみようで引っ越しができるのってすごいことだと思います。旦那様の職場から遠くなるなどデメリットもきっとあったと思うのですが、すんなり話が進んだのでしょうか。

夫とは普段から何でも話し合う関係ですが、引っ越しというのは彼にも直接影響の大きいことだったので、少し違うアプローチで一緒に考えていきました。

話だけだと机上の空論になってしまうので、具体的なデメリットとメリットを体感する形で、一緒に何度も住みたい地域に遊びに行ったり、気軽に物件をリサーチしてみたり。そこでだんだんイメージがわいて来たり、この駅でこの路線ならそんなに時間がかからずに座って通勤できるとわかったりして、最終的にはとてもすんなりと引っ越すことができました。

実際に引っ越してみたらとても簡単なことだったので、「妨げるものなんて何もないのに、どうして好きな場所に住むことが難しいって感じてたんだろう?」と思いました。

仕事を変えるほどの移動ではないので、できる範囲で本当に自分たちの好きなようにするというのはこんなに簡単にできることなんだ、と。住む場所ってすごく大事なことなのに、これはまではなんとなく「職場の近くに住む」「駅近くで家賃これくらいで」というイメージだけで選んでいたんだなと。

仕事や家族の事情で本当に困難な場合を除いて、実は妨げているのは自分の固定概念だった、というケースも結構あるのではないでしょうか。

 

―特に結婚されている方に多いと思うのですが、住環境に関する価値観が旦那様と異なるために動きたくても動けないということもよく聞きます。もともと自然のある場所が好きという価値観が一緒だったのでしょうか?それとも、自然が豊かなところが心地よい、という価値観を共有するために、日頃から何か気を付けていたことなどあれば教えてください。

私たちの場合、ゆっくりとした心地よい暮らしが好き、という点ではもともと価値が一致しています。ですがそれ以上に、まわりにびっくりされるくらい話し合うカップルなんですね。「相手のことがあまりわからないのになんとなく一緒にいる」という惰性的な感じが2人とも本当に苦手で、ちゃんと相手と通じ合っている心地よい関係であることに命を懸けている?節があります。

いつも「今相手が何を考えているか」を知っていたいので、疑問に思うことがあれば何でも聞きますし、分からないことがあれば、喧嘩をしてでも必ずお互いがすっきりと腑に落ちるまで睡眠時間を削っても話し合います。

ですから、今回は「引っ越したい」という私の勘や感覚を伝えて、彼が納得するまで話し合うことができた、ということだと思います。深くまで話し合うと、必ずどちらかの頑なな部分がほどけたり、ちょうど良い着地点が見つかるので。逆に彼がどうしても移動したくない理由があって、それに私が納得したら、引っ越しではなく違う方法で心地よい暮らしをちゃんと考えたと思います。大事なのは「2人ともが納得する」ということじゃないでしょうか。だって一緒に生きていく大切な人ですものね。

 

2.鎌倉暮らし。

~心地よい暮らしと意識の上での自己満足~

―鎌倉へ引っ越しをされて、良かったことと悪かったことはありますか?イメージと現実のギャップはありましたか?

悪かったことは全くないです。本当に楽しくて、心地よくて。暮らしやすくて、イメージ以上によかった、というのが感想です。とりわけ歴史があり、神社仏閣の多いエリアなので、「人だけがいる世界」ではないことが良かったですね。

「じゃあ買い物ついでに八幡様にご挨拶していこうか」とか、「長谷に寄ったら大仏様にもご挨拶しておく?」とか、「今日は風が強いからきっと波が高いね、由比ガ浜はサーファーでいっぱいだろうね」とか、暮らしているだけで自然や神仏にまで意識が広がって、私にとってはとても息がしやすい環境でした。

役所の方やお店の方も本当にニコニコ感じのよい方が多くて、こういう環境だから皆さんこんな風にゆったりにっこりされているんだなぁと感心しました。本当は「人だけがいる世界」では逆に人は暮らしづらいんだな、世界が頭打ちになってしまうんだろうなぁと思いました。

ただ、今思えば観光客気分だったとは思います。しっかり根を下ろして暮らすには、私はチャラチャラしていたというか。心地いい環境に住んでいること自体に満足してしまって、向上心や、生活自体への意識はあまり高まりませんでした。

あと、旅行に行こうとか、いろんな人に会いにいろんな場所に行こうとかあまり思えなくなってしまって。環境に満足しているといえば聞こえはいいですが、自己満足の中に閉じてしまっていたかなという気もしています。これは場所の問題ではなく、私の意識の問題です。

 

―ちょっと気になったのが、「鎌倉」は自然の中なのかな?という点です。「鎌倉」って結構都会だな、と感じる方もいると思いますが、暁子さんの感じる、「自然」ってどういったものなのでしょうか。

単純に私がかなりの都市部に住んでいたので、「自然」というレベルがかなり低いかもしれません。人工物と自然のバランスで、息がしやすい雰囲気があれば私の中でもう「自然寄り」というイメージですね。神奈川県でいうと、鎌倉のあたりからそういうほっとするバランスがあるような気がしています。

それから、これは私個人の独特な感覚なのですが、「田舎」と「自然」って少し違うもののように感じていて。鎌倉市の山や自然は、住民の方がとても大事にしていて、心地よい雰囲気を持っていると思います。実際に市として半永久的に緑地を保護する法令を作っていて、具体的な努力がなされているんですよね。

私は藤沢市と鎌倉市の境近くに住んでいたのですが、藤沢市に一歩入ると全然緑がないんですよ。山の斜面にもずらーっと住宅が並んでいて。それから、田舎で自然がいっぱいあっても、手入れされいない場所には息苦しさを感じたりもしますよね。

そういうトータルな印象で「自然を感じられる場所」というのが私にとっての自然ですね。人と土地、植物のバランスが取れた場所というイメージです。

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4.横浜市への引っ越し

~自分にとって自然な形はどこで住むことなのか?~

 

―鎌倉から引っ越す直接的なきっかけはありましたか? 

本当に楽しくて大好きな鎌倉の暮らしだったのですが、子供が6か月になったあたりから不思議な閉塞感を感じるようになりました。ずっと鎌倉で子育てをして、アロマの仕事をしていくつもりがどうもこれ以上、ここでやることはないような感じがして。

ママ友ができる気配もない。不思議と縁がつながらなくて、仕事が広がるわけでもない。遠いから、旦那も帰りが遅いし、子どもと二人でずっと子育てしているだけ。

今思えば、本当はもう移動すべきタイミングに来ていたのと思うのですが鎌倉市の環境が気に入りすぎていて、引っ越すという発想が全然浮かばなかったんです。

育児が始まっても、実家から鎌倉の自宅に戻ると体がほっとしましたし。自分の理想のイメージにこだわっていて、この環境で暮らすのが自分にも子供にも一番いいと思い込んでいました。

でも、これ以上物事が展開しないような閉塞感を感じるようになってきて、これは何だろう?と悩んでいた折に熱を出して、体調がつらくなった時に「あ、ここからは実家の近くで暮らせばいいんだ」、とふと思ったんですよ。

娘の成長にとっては、私のイメージでの理想の環境よりも、実際に家族と頻繁に関わって生きていくことの方が大切なんだな、と。言葉にするのが難しいのですが、本当に愛情でつながっているのはどちらか?私個人の歴史や、家族の歴史の上でより自然なのはどちらか?と考えたら、環境をあきらめて家族をとる方が自然だとやっとわかったんですね。

そして、物件を探したらすぐに新しい家が見つかったんです。その場所は、実家から自転車で10分で、夫の通勤時間も短いし子育て支援も充実している場所でした。こういうふうにスムーズに物事が流れるときは、そっちが正解ということだと思っているので、思い切って引っ越すことにしました。

「これでいいんだ、正解」という思いと「こんな好きな環境から離れるなんて!」という、安心と断腸の思いとで、すごく複雑な気持ちでした。

 

―今まで、実家の近くで暮らすという発想がなかったのは何か理由がありますか?

以前は実家近くに住んでいた時期もあるんですよ。ですから実家自体には問題はなくて、実家近くの環境よりも鎌倉市の雰囲気が私自身に合っていたというだけです。「自分らしい場所で暮らす」という発想になると、実家近くのエリアではなかったというだけことで。でもそれは私にとってはすごく大切な問題でした。

 

―実家や義理の両親が近くにいるが子育てなどで頼りづらい、合わないなどといった場合もありますよね。暁子さんも実家と合わない部分があったりしますか?もしあれば、関係性をよく保つために心がけている点はありますか。

実家の家族とは仲がいいですが、私だけかなりナチュラル志向で感覚が敏感なんです。食べ物や健康に関する意識はかなり違います。たぶん、鎌倉での暮らし、そこからの横浜への引っ越しを経験しなかったら、私ももうちょっと実家と折り合わない部分が残っていたような気がします。

ですが、引っ越しを重ねてみて、物事の良さはそれぞれにあって多面的なんだと実感してから、「細かい価値観の違いは大したことではない、愛情さえあればいい」と思えるようになりました。些細な違いは気にならなくなって、自分とは違う面に対しても「この人はこういうタイプなだけ」と思い、直してやろうとか、変わってほしいと思わなくなりました。そうなるととても楽で、今どんどん心地よい関係になっていっていると思います。

 

 

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